迷い子大失笑 -2ページ目

卿とシィ 3

そんな訳でシィを看取り、火葬にしてお骨を安置した。

毎日朝、夜お参り。

今まで通り
『シィ!行ってくるよ。良い子にしてるんだよ』
『シィ!ただいま!良い子してた?今日は何をしてあそんでたの?』


忙しい日々を送るうちようやくシィが居ない日々になれてきた。
それでもたまらなく寂しくなるし、色々なことを考えてしまう。


母『シィは卿が帰ってくるのを待っていたんだよ!
だから顔見て安心して、すぐ急変して息を引き取ったんだよ。
卿に会いたかったからそれまで待っていたんだよ!』



そうかもなあ。
シィに最期に会えて良かった。


父『たまに聞くけど本当にあるんだなあ』



また涙が出た。
苦しかっただろうなあ、卿を待っていてくれたのかな?いつ帰ってくるかわからないのに苦しかったよなあ。


看取れてほっとしたがシィを苦しませたんじゃないか?って自己嫌悪も持っている。

家族みんなで囲んで看取れたのは良かった。
もし自分なら最期は家族に会いたい。


悩んでもしょうがないけどそんな事を良く考えた。

どんなことを間際に思うのかな?

生まれ故郷の海岸やお母さんや兄弟のことを思い出すのかな?

やっぱり五感で感じることかな?

いつも見ていた窓の外を、風通しの良い廊下や玄関、生まれた故郷のお母さんや兄弟ネコや卿や家族の顔が浮かぶのかな?

いつも聞いていた、卿や家族の声を、雨の音を生まれた故郷の海の音が聞こえるのかな?

窓際で感じる暖かな風や日差しを夏の暑さや冬の寒さ、いつも一緒に寝ていた卿の体温を感じるかな?

家に来た頃死にかけたり、尻尾折ってしまった時、苦しかったことを思い出すのかな?

いつも食べるカリカリをたまに食べるご馳走を大好きなおやつまた食べたくなるのかな?


取り留めないことばかり考えてしまう。

もっとしてやりたいこともあった。
でも出来る限り側に居た。 

シィが居るからあまり旅行とか行く気にならなかった。シィとまったりするのが大好きだったから。

嫌な事があってもシィをモフモフすると大体解消した。

この10年はシィとの10年でいっぱいいっぱい色々なものを貰った。
本当にシィとの時間はかけがえのない時間だった。


朝シィにペロペロされて目が覚めて、午前はシィなでなでしながら録画したテレビ見て
昼にぷうとラーメン食べて、シィと昼寝して。
夕方ゲームしながらシィ抱っこして
夜お風呂入って、ゴロゴロしながらシィと遊んで。
眠くなったらシィ抱っこして寝る。
今思うと幸せな休日だよね。




卿はシィが大好きだからしばらく穴は塞がらないけどシィに恥じないよう頑張らないとって思う。



いつかシィが居ない日々が当たり前になる。
それでもシィと過ごした日々を忘れないし、共に過ごした時間を愛しく愛しく思う。
今はまだ思い出すと涙が出るけど泣く思い出では無くてクスリと笑うそんな色々なシィとの思い出。

スマホにも写真いっぱい。このブログにもいっぱい居る。



もう一回言うけどシィと過ごした日々を忘れない。
毎日一緒にのんびりしたり、ハラハラしたり、遊んだり。
そんなシィとの日々を僕は忘れない。



卿とシィ 2

前回同様、シィが火葬になる描写があります、ご注意下さい。




シィが息を引き取ってからしばらくぼんやり。

ぼんやりシィを海岸で出会ったこと、すぐに死にそうになったこと、子猫のころ、卿が入院した頃のこと、一年半前も死にかけたこと、最近のこと、色々思い出した。

卿は馬鹿だからなんてことない日々がいかにかけがえのない日々だったかこうゆう事で痛感する。




泣きながら体を綺麗にして寝かせる。
寝ているようにしか見えないけど、触ると暖かくなくて思い知らされる。
人間もだが死ぬと排泄物が出ちゃうから綺麗にして紙おむつ履かせて居間に安置した。





台所のエサコーナー、廊下、玄関のタイル、窓際、裏の窓際、居間、卿の部屋どこを見てもシィが居そうな気がした。
目の前で息を引き取るのを見ていてわかっているのにまたひょっこりカーテンの影から、窓際から、卿のタオルケットの中からシィが出てきそう。



何食べても味しないし、味気ない。
明日ペットの火葬番号へ行くことになった。

その夜、ベッドの隣にシィのベッドを置いて寝た。
あんなに毎日一緒に寝ていたのにもうシィがこの世に居ないって思うとまた涙が出た。




次の日、午前に予約をして午後2時火葬場へ行く。
昔愛犬のチャンプもここで火葬して、毎日お盆はお参りに来る場所。


色々説明を受けて簡単なお経をあげてもらう。
祭壇に安置されたシィはやっぱり寝ているだけみたい。
早く起きなきゃ火葬にされちゃうよ?

お経が終わり、シィが移され大好きなタオルや花、卿のTシャツをかけられたシィが火葬場へ

予約取る時に飼い主さんの匂いのするものを一緒にって言われたからTシャツをかけた。


ここまでも何回も涙が出て、こんな涙が出るんだなって思っていた

いよいよ、シィが荼毘にふされる。
ここが一番涙が止まらなかった。
シィが台に載せられた。

やめて、シィを、僕のシィを焼かないで!って子どもみたいに真面目に思った、たまらなかった。
もちろんわかっている。




絞り出すようにお願いしますと伝えて30分位待ち、お骨を拾った。


家に帰り、祖父の葬式でも使った祭壇を組み立ててシィを安置する。

あんなにフカフカもこもこしてたのに。
卿はまた涙が出た。

卿とシィ1

スマホ壊れてしばらくほったらかしでした。
_φ( ̄ー ̄ )



シィが息を引き取る話です、そうゆう話がダメな人はご注意下さい。




胸の水を抜いて退院したシィは少し良くなり、たまに少しだけ自分でご飯食べる位には良くなった。
まだまだ足りないから毎日朝晩給餌、給水、点滴。
これがなかなか大変。
でもシィが良くなるなら頑張れた。


七月に入った頃、また一段悪くなった。
座り方がへたったような座り方で動きが減った。


7/8獣医さんの所へ行き、診察してもらうと
もう限界が来たと言われた。


数字は軒並み上がり、今生きていることも不思議な数値と言われた。

自分でトイレ行くしよたよたしながら人の所へ来ると言うとシィちゃんはそんなこと出来る状態じゃないのに強いネコちゃんですね、と言われた。


もう薬だしてもどうにもならないと言われ、安楽死についての説明をうけた。
すぐ判断出来ないだろうけど見ていられない状態になるかもと言われた。
その時連絡くれたら出来るだけ対応すると言ってもらった。



あとどれくらいなんでしょう?と聞くと今すぐ急変してもおかしくないって言われた。

お願いして、痛み止めや炎症抑える点滴をもらった。



家に帰り両親にその旨を話す。

『その時』が来るまで出来るだけ側に居よう。
もしどうしても見ていられないようなら安楽死をお願いしようって両親と決めた。


その夜は普通に過ぎて、次の日も普通に過ごすと思っていた夜シィが戻した。

いつもの唾を濃縮したような液体ではなく、食べたものを戻したでもなく黒っぽい茶色の液体でとても禍々しい色だった。


よたよたしながら卿の所に来たから頑張れって言って撫で撫でした。


7/11朝また黒っぽい茶色の液体を戻していた。
昨日より具合悪そう。
もう限界なのかな?出来るだけ長く側に居たい、苦しませたくは無い。
そんな事を思いながら後ろ髪を引かれる思いで仕事へいく。



卿『シィ、兄ちゃん仕事行ってくるよ?
良い子にしてるんだよ?』

毎日毎日同じ事をシィに言う。
でもこれが最後だった。


土曜日は半ドンだけど忙しくって15時20分頃家に帰る。


家に帰ると母に今シィがまた戻しちゃって、卿がシィちゃん動かして?って言われていつもの猫ベッドにシィを寝かせてシィの好きな窓際に連れて行く。
具合悪そう。



母はシィちゃん朝から悪そう、今日明日が峠かも、考えてねと卿に言った。
確かにそうだ、苦しませたくは無い、長く側に居たいの間で卿はまだ決断出来ないでいた。




家に帰りシィを動かして、床を拭いて、ラーメン食べる為お湯を沸かし、着替える、この間5分少々。

お湯を沸かす間に窓際のシィの側に居て撫でながら大丈夫か?なんて声をかけて。
お湯沸いたからラーメンに注いで部屋に持って行く時。




シィ『みょおー!』


シィが聞いたこと無い声をあげた。
ラーメンほっぽり出して急いでシィのところへ。



シィ?シィちゃん!

シィは明らかにさっきまでと違う様子だった。
気を必死に保とうとしてるような、今思うと蝋燭が風に吹かれて炎が消えそうに揺れているようなそんな感じ。

生き物が死ぬ瞬間を卿は直に見たことないがハッキリわかった。



急いでシィを居間にベッドごと運び母に伝える。


卿『かあ、シィが、シィが!
もう、もう今!』




父も通りかかり、三人でシィを囲む。
シィ、シィ!
頑張ったな?ありがとうな!
シィちゃん?

思い思いに声をかける。


ネネも来てシィを不思議そうに見ている。


5分位で反応が無くなり、息が細くなってきた。
もう生きているかも良くわからないが時々大きく息を吸い込みかろうじて生きていることがわかる程度だった。


この頃には卿は涙と鼻水でもうグチャグチャ
『シィ、楽しかったなあ、兄ちゃんシィが家に来てくれて本当に良かった、兄ちゃんシィが大好きだよ、
ありがとう、ありがとう。』
グチャグチャになりながら息も絶え絶え必死に伝えた。






そして少しして、シィは大きく伸びをして、少し痙攣した。
あぁ、終わったんだってわかった。